そこは時代や歴史もが淀み重なり合う、時が止まった離島。
海から様々な想いが流れ着き、再び戻ることの適わない「十六夜の洞穴」。
島に流れ着いた孤独を抱える男は、
洞穴に潜む女と出会い、二人は互いの時をひっそりと重ね合わせた…。
男の事を「滅ぼす者」と信じ、恐れる島の人間の苦悶する業と咎。
男を想い、心を伝説と同化させていく女。
やがて男もいつか見た夢の末路に捕らわれてゆく…。
男が幼き頃に夢想した「彼方の島」…。
赤鼻天皇と呼ばれる女の父…。
かつて島へと落ち延びた幼少天皇に差し出された伝説の女、「鳥頭女(うずめ)」…。
それは夢と現実、記憶と神話が絡み合う、悲しくも恐ろしげな…美しき幻想奇譚。
永遠と一瞬の狭間に生きるヒトビトに贈る、詩情豊かな世界と生演奏で織り成す、全く新たな『サロメ』の物語。
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